スーパーマーケットのレジで全部小銭で払った若者の話。
それも全部銀貨でっせ。銀貨! オーストラリアは1ドルと2ドルは金貨。
だけど金貨はひとつもなかった。
スーパーのレジに並んで品物全てをカートからベルトコンベヤに並べ終わって、ふと前の人見た。すると、蓋とった缶を逆さまにしてジャラーっと大量の銀貨を支払いのためにばらまきよった若者がいた。
レジのお姉さんの顔色が瞬時に変った。 私も額にも斜線!
ひょえ~
私の後ろに並んではったふたりは素早く隣のレジへ。そりゃあ、そうやろ。
しかし、こんな日に限って私は猫のトイレの砂やらなんやら、重いものを沢山買う日で、もうベルトコンベヤーに並べてしもうた。 私は他のレジへ移動ができない。
待つしかない。ああ、ついてないな~
レジのお姉ちゃんとその若者は大量の銀貨を10枚ずつ積み上げる作業を始めた。
それがもう要領悪く、のろい!
しゃーない。私、手伝おうやないの。
とにかく3人で一心不乱に言葉も交わさず、目も合わさず、しかし力は合わせて銀貨数えた。
どれくらいの時間が経過したのかよく覚えてないけど、この若者の買い物の金額がA$65.50だったことだけは覚えてる。
やっと終わった。
レシートを受け取りながらその若者は、悪びれもせずにややおどけて私に言った。
「あんた、コインで払ったらあかんで」って。よう言うてくれるわ。
すべて銀貨でお買い上げの食料品その他全部持って足早に立ち去り、レジのお姉さんと私は互いに微笑むしかなかった。