2016年8月8日月曜日

アンジェリーナ

「あなたをアンジェリーナと呼んでもいいかしら?」
美しい銀髪をきちんとセットした老婦人は遠慮がちに私に言った。

それは慈善活動の手伝いに高齢者の施設を訪ねた時のこと。もうかなり前ですが。

「昔のことはよく覚えてるんだけど、昨日のことやら時々数分前のことでも思い出せないの」と
前置きして何度も私の名前を聞いてくれはった上品な老婦人。
こちらでは初対面でもファーストネームで呼び合うのが一般的。

私が小学生の時にはクラスに必ず同じ名前のもうひとりかふたりくらいいたほど
私のファーストネームはその時代の日本ではとてもありふれた名前やった。

だけど、この老婦人にとっては何度聞いても覚えにくい名前やったんやと思う。

若い人の中にもアングロサクソン以外というか白人の名前以外の名前を耳が受け付けない人が
結構いる。

白人の名前以外はなんとなーく覚えたくないっていう姿勢を示す若者に出会ったりするとムッとすると同時にびっくりする。
ここは多民族国家のオーストラリアやで。

母国を離れて海外にアジア人の多くはファーストネームのみ英語名を持っている。
名前を聞かれた時、または初対面の人に名前を告げた時などに
「英語名ないの?」と眉間に皺を寄せながら不快感丸出しで聞かれることがある。

そういう時は「ありません! 親がつけた名前はひとつしかありませんから」などと私は要らんことを言ったりする。

日本で、またはこちらで会う日本人に「関西弁丸出しですね~」とちょっといやーな感じで言われたりすると、余計意識して関西弁でしゃべってしまう。
そういう時私の声はちーと大きなる。
ホンマいやらしい私の性格がこういう時に露呈する。

The Japanみたいな正統派日本のビジネスマンからつい先日名刺をいただく機会があった。名刺の苗字と名前の間にかっこで括られたRichardという英語名見て「どこがリチャードやねん?」と思わずつっこみそうになった。
「リチャードって誰がつけたん?」と聞いてみたかったが、聞けんかった。

TomohiroがTomやったりSatoruがSamやったり・・それはええ。
だけど「どこがやねん?」ていう英語名を自分で名乗るのはどうもコッパズカシイ。

それでも、銀髪の老婦人にアンジェリーナと呼ばれて以来、状況に応じてたまにアンジェリーナと名乗ることがある。
電話でのレストランの予約時など。

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