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2019年9月28日土曜日

外科手術 その4)床に置く

麻酔から覚めたら知らぬ間に一般病棟に運ばれていて、周囲の景色は変わっていた。
で、オットはいったいどこへ行ったんやろう。
まあ、ええわ。

愛想の良い看護師さんが自己紹介しながらベッドのリクライニングのハンドルをくるくる回して私をゆーっくりと起こしてくれてね。たったこれだけやねんけど、彼女の優しい口調と私への接し方が嬉しかった。

「気分どう? お腹空いてませんか? サンドイッチと温かい飲み物どうですか? 」と聞いてくれました。

昨夜の夕食を最後にずーっと飲まず食わずだったので、「はい、お願いします」と言ったはいいが、実は気分がいいも悪いもわからず、まだ猛烈に眠い。

サンドイッチと飲み物がのったトレイを持った看護師さんが部屋に入ってきた。
私のベッドに近づくやいなや、彼女の携帯電話が鳴った。
するとこの看護師さんね、トレイを迷わず床に置いて携帯電話に出たんよ。

「げっ!」とぼんやりした頭で驚く私。

業務連絡だったらしい。
「わかりました。すぐ行きます。」とだけ短く答えて彼女は電話を切った。

床に置く?

こんな些細な事が気になる。あかんな、私。

iPadを手にしながらその後ウトウト眠ってしまってね。
次に目覚めた時には当然サンドイッチと紅茶は手をつけないまますでに下げられていた。

結局食べなかったんやから、そんなことどうでもええやんか!
なんだけど、この時の小さな驚きを書き記しておきたかったのです。

あの人は誰やったんやろう? に続く



2019年9月26日木曜日

外科手術 その3)寒い手術室


着替えて麻酔準備室へ。

ご陽気な麻酔医が私にこう言いました。
「手術室の温度設定がここよりも低いから、寒いけどごめんね。でもあなたはあと数分でしばらく意識がないから寒さは感じない。大丈夫。」

自分で言うて先に自分で笑ろうてる、この麻酔医。
まあ、でもおかしかったから私も笑った。

麻酔医の助手の若い女性がこれまたお茶目に明るくこう付け加えた。
「よかったですね、この患者さん笑ってくれて。」

これ、毎回同じこと言うてるんかいな。この麻酔医・・・

でも、手術前の患者の緊張とか不安を少しでも和らげようとしてくれている彼らの気持ちが何だか嬉しい。

で、私もお調子に乗って言うた。
「なま肉さばく部屋が暖かいのはまずいですよね。寒くても仕方ないです。」

予期せずえらくウケた。

床に置く に続く

2019年9月21日土曜日

外科手術 その2)待合室


威圧的ナースに「以上 待合室で待て」と言われて、手術室がズラーっと並ぶ広い廊下の突き当たりにある待合室へ。
威圧的ナースについてはこちら

ご高齢のご夫婦が大きなスーツケースを横に置いて座ってはりました。

気さくな奥さんが、私に話しかけてきた。
手術するのは奥さんやて。

おばあちゃん「あなた、手術の後に何日入院するの?」
私「多分2〜3日。そちらは?」
おばあちゃん「こちらも同じ。うまく行けば今夜一晩だけかも」

ええ!! うまく行けば今夜一晩?
そんなでっかいスーツケースに何入ってるんですか? と聞きたかった。

てっきり1週間以上の長い入院生活とばかり思っていた。

私は下着の替えと洗面用具を入れた巾着袋しか持って来てない。
だって、病院の案内書にそう書いてあったから。
それもまだ病院駐車場の車の中に置いたままや。
オットは病院のカフェにコーヒー飲みに行った。
なんだか自分の持ち物が急にショボく思えて心細い。

天気のことやら、病院の駐車場料金が高いことやら、このご夫婦と話していたら携帯電話の呼び出し音が大音量で鳴ってね。
ご主人がズボンのポケットから携帯電話を取り出して、そっからの動作がちょっと笑えた。実際は笑わんかったけど。

おじいちゃん、まるでアツアツの焼き芋を両手で操るように携帯電話を右手と左手で交互にホイホイ。
携帯電話に不慣れな様子。
いや、最近新しい機種に買い換えはったんかなあ?

とっちらかった様子でやっと電話に出たんだけど、どうやら同時にスピーカーのマークを押したらしいのです。
電話をかけて来た人の声がこれまたかなりのボリュームで待合室中に響いてね。
電話が鳴るまでは静かな話し声だったこのおじいちゃん。
なぜかそのおじいちゃんの声が急に大きくなった。

別に聞きたくないのに、彼らの会話が私の耳に入るねん。
娘さん? お嫁さん? お孫さん? 相手の女性の声・・
電話切る間際に何度も「アイラブユー」と繰り返し言ってたっけ。

電話を終えるやいなや、名前呼ばれてこのご夫婦は立ち上がった。
待合室を出る間際に、奥さんが振り返って「グッドラック ラブ!」と優しく私に言うてくれました。
私もおばあちゃんに「ユー トウー」
おじいちゃんは無言で私にウインクして大きなスーツケース携えて部屋から出た。

何の手術なのか、最後までお互いに聞かなかった。
けれど、これから手術する人が私を励ましてくれてる。

待合室に一人残された私。
もしかしたら、あのご夫婦は普段携帯電話を持たずに生活しておられるのかも?
そんなことふと考えながら自分の名前が呼ばれるのを待ちました。

その後、このご夫婦には病院内のどこで会うチャンスもなく私は退院した。
あの日待合室でおじいちゃんはおばあちゃんの手をずーっと握ってはった。

おばあちゃん、無事に退院しはったかなあ?

寒い手術室 に続く

2019年9月17日火曜日

外科手術 その1)意思の疎通

最近、ちょっとした外科手術のためにほんの数日入院をしました。
オーストラリアに来てから初めての経験。
その時のことを今日から何回かに分けて書こうと思います。

手術が始まる数時間前に、手術室の助手ナースから事前説明と脈拍やら血圧やらの測定がありました。
と同時に、いくつかの質問を受けたんです。
これらの質問はすでに問診票に記入して署名のうえ提出済み。
だけど、病院のシステムとして再度確認のために同じこと聞くんよ、きっと。

このナースね、インドかスリランカか、バングラディシュかその周辺の出身やと思う。
英語が第二言語の私が言うのもナンですが、このナースの英語がホンマに聴き取りにくくてね。とほほ・・
なんども彼女の質問を聞き返したんよ。

この逆は私にも他の状況でちょいちょい発生します。
私のお粗末な英語の発音または間違った言葉選びが原因で、相手から数回聞き返されるっていう状況。
そういう時は別の言葉に変えてみたり、違う表現を使ってコミュニケーションのつっかえを乗り切るの。
お互い母国語が英語以外の場合、さらにそのあたりの努力は無意識に怠らないと思う。
そういう場面で特に嫌な思いをしたことはないし、言葉が原因で大きな差別を受けた覚えもない。
ただのラッキーか、差別を受けていたのに自分が気づいていないだけなのかもしれんけど。

とにかく、オーストラリアは多文化社会で移民国家なんやから。

私が聞き返す度に彼女は同じ直球を同じ角度と同じ猛スピードで繰り返し私に投げてくる。
そして、ウルトラスーパー威圧的で所作がすごく雑で荒っぽい。

オットが部屋の隅から小声で私に助け舟だしてくれました。
オットが一緒に来てくれてなかったら、時代遅れのバッテイングセンターみたいなこの部屋で球に打ちのめされてたかもしれん。
私は麻酔もまだかかってないうちからここでバッタリ倒れてるところやで、ホンマ。

あ、そうそう。
質問の一つに「あなたは家族以外の人との意思疎通に問題があるか?」っていうのがあった。

私は思わずこう答えそうになった・・・
「多分あなた以外の人とは意思疎通にまず問題ありません」って。

笑ってもらえそうになかったから、言わんかったけどね。

最後に「質問あるか?」と聞かれました。
私が答える前に彼女は「以上 待合室で待て」とさらに早口で言うたんよ。
彼女からの言葉はずーっと最後まで命令口調。
ここはどこ? 軍の訓練所? 野戦病院?

辛うじて私はこのナースに廊下で食い下がるようにひとつだけ質問をしました。
「全身麻酔が効いて私が手術室に送られた後、あなたも手術室にいるのですか? 覚醒の後、病棟で再度私はあなたに会いますか?」

答えはノー。
やった!!

心の中で私は大きくガッツポーズをとった。
一期一会か ←使い方間違ってるよな。

もう二度と彼女に会いたくない。

手術当日、患者は多少の不安と複雑な感情を抱えていると思う。
この人、このポジションに全く向いてないなあ。
人材不足?

なんであなたはナースなん? 

待合室 に続く・・・





2019年9月15日日曜日

お昼ご飯できたよ!



今日はオットの仕事部屋の「ドア開かない」問題について書きます。

先日、我が家の「フローリングが波打ってる問題」について書きました。
「小さな仕事もお任せください」はウソ

「お昼ご飯できたよ!」とオットの仕事部屋へ呼びに行ったのですが
あれれ? ドアが開かない。

「トイレと玄関のドア以外に内側から鍵かかるドアあったかいな?」
ふと考えたけど答えはすぐ出た。
「いや、ない」

ドアノブの何かがおかしいのか、ノブがビクとも動かない。
外側からも内側からも動かなくてドアがとにかく開かない〜

オットはドアの内側から「ガレージから道具箱持ってきて」って大声で言う。
いや、そんな大きな声で言わんでも聞こえるがな。
もうこの時点でオットはちょっとパニックやったんやろう。

待てよ。
私が道具箱を開かないドアの外側に持ってきても、ドアの外側から私にできることは何もない。
で、その道具箱をどうやってオットの仕事部屋の中へ入れるねん。

横滑り出しの「通風窓」なのよ、オットの仕事部屋の窓って。こんなの。


玄関から外へ出て窓から道具箱をオットの仕事部屋へ入れようとしたんだけど、この不便な窓の内側に頑丈な網戸がかかっていてね。

これがまた・・・網戸がサッと外せない。

時間かかったけど網戸を無理やりひねって、何とか網戸と窓の小さな隙間から道具をひとつひとつオットの部屋へ押し込んだ。

結局ドアの蝶使いを内側からオットが外して、ドア全体がバーンと派手に倒れてやっと開いた。

”ドリフだよ全員集合” のコントみたいな終わり方。

オットは無言で一目散にトイレに駆け込んだ。
我慢してたんやね・・・

この日のお昼ご飯は午後2時を過ぎた。

どないなっとるねん、この家!!
要修理箇所がひとつ増えた。

他の部屋でも同じ問題が発生するのではないかと思うと、怖い。
「ドアがきっちり閉められない症候群」に悩まされそう。

追記
フローリングの修理業者が見つかって、数日中に作業に来てくれることになりました。





2019年9月11日水曜日

坊や号泣


真冬の悪天候の日にオットがクラフトマーケットで「似顔絵描きます」の出店をした時のこと。

全員ぽっちゃりしたご陽気なファミリーが来てくれはってね。
オットは小学生の坊やを描いた。

身内を褒めるのはナンですが、よく描けていたと思う。
肥満児だけど、ちょっとだけお顔のラインをほっそり描いて
モデルの表情をよくとらえていました。

オットの前でポーズとってる間は機嫌良かったのに、出来上がった似顔絵を見るやいなやこの坊やが大泣き!

お母さんが慌ててこの坊やに言いました。
「どうしたの? なんで泣くの? そっくりやん!」
お母さんのこの一言で余計にこの坊やの大泣きに油を注ぐ結果となった。

号泣・・・

いや〜 まいった。

お客さんに泣かれたのは初めて。
オットはその日いつもよりさらに無口になった。

2019年9月8日日曜日

オシャレは足元から

小春日和の先日、靴下にビーチサンダルという若い女性を見た。

2019年9月4日水曜日

「小さな仕事もお任せ下さい」はウソ

フローリングの修理を引き受けてくれる業者探しに苦労している。

玄関入ってすぐのフローリングが波打っていて、これが引っ越し直後から気になってしゃーない。
前の持ち主はフローリングの板の予備をガレージに残してくれたし、仲介不動産屋の担当者もそれを何度か私たちに説明してたっけ。

家のちょっとした修理やら、職人技術までは必要とはしないけど主婦やお父さんの日曜大工では少々手を余すような作業はハンディーマンに頼む。

引っ越してちょっと落ち着いたらハンディーマンに頼んで、すぐに直してもらえると思ってました。

わたしら甘い!

この辺は新興住宅の開発が進んで、ハンディーマンに限らず業者さんたちは大忙しで仕事に困らんらしい。
大工さんはもちろん、水道の業者さん、電気工事の業者さん、造園業者さんなどなど。

業者さんが客と仕事を選びます。
フローリングの修理の件、私たちはどこへ電話してもけんもほろろに扱われて断られっぱなし。
小さな仕事、嫌がります。
はっきりと「400ドル以上の仕事しかしません」と電話で言う業者もいた。

じゃあ、「小さな仕事もお任せください」って広告出すなよ!

オットは日曜大工があまり得意ではない。
もちろん私もDIYは苦手。

波打った玄関のフローリングを見て、ため息をつく。
当分このままやろうな。



2019年9月2日月曜日

警官

あの学生達、もう日本に戻ったかなあ?

警察官と一緒に携帯電話で自撮りしようとしている日本の学生グループがいた。
メルボルンの街中の往来で。
多分、高校生。

たまたまそばを通りかかった私はシャッターを押す役目を仰せつかった。

「かっこいい! かっこいい!」と女子たちに連呼されて、若い警察官はまんざらでもなさそう。

勤務中やろう?
学生たちと一緒にご機嫌でカメラにおさまってはりましたけど。